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Vol.218 『るろうに剣心 伝説の最期編』

TOHOシネマズ錦糸町にて『るろうに剣心 伝説の最期編』を観賞。『京都大火編』からの続きとなる2部作後編で、シリーズ完結編。
志々雄の対決の後、浜辺に打ち上げられた剣心は謎の男に拾われる。前作はここで終わったわけですが、その男こそ、剣心の師匠・比古清十郎。志々雄の野望を砕くため、剣心は飛天御剣流の奥義を会得する。その前に立ちふさがる、隠密御庭衆・四乃森蒼紫、そして国盗りを始めた志々雄。甲鉄艦・煉獄を舞台に、最後の死闘が開始される。

るろうに剣心 伝説の最期編


原作のいいところをうまく配置換えしてまとめたシナリオは、よりスピーディに、そして激しい戦いの連続となり、あっという間に終わってしまう感じでした。前後編合わせて4時間半という尺ではとても描ききれないストーリーなのは最初からわかっていましたが、世界観を崩さず、キャラクターをうまく活用していましたね。
当然のことながらカットされるエピソード、掘り下げられないキャラクターも出てくるわけで、十本刀はかなりばっさりでしたねぇ。魅力的なキャラクターが多いだけにもったいないとは思うのですが、思い切ったなぁという感じ。宇水とか、おいおいという感じでしたw
十本刀でもっとも残念なのは安慈。明治政府に刃向かうことになるエピソードや、左之助に二重の極みを伝授したり、その関係があっての安慈VS左之助の戦いの深みが出るわけですが、そのバックグラウンドがまったく語られないために単なる肉弾戦になってしまってました。第1作でも左之助の戦いは笑い担当的なところがありましたが、今回もそのイメージになってしまいましたね。

るろうに剣心 伝説の最期編

今回の目玉はなんといっても福山雅治さん演じる比古清十郎。口は悪いができの悪い弟子である剣心のことを思っているのがよく伝わります。このキャラクター、コミックでは完全無欠な超人でしたが、この映画ではかなり人間くさい感じがしました。これもまたありかなという気はします。
しかし比古にはお気に入りのセリフが2つあるんですが、「いざ、尋常に勝負!」が、十本刀戦不参加で削られたのは仕方ないにしても、「オレのとっておき(飛天御剣流)をくれてやる」が変更されていたのはちょっとショックでした。「剣を教えてやる」って……普通すぎる! 「オレのとっておき」だとわからないのかも知れませんが、キャラのイメージを決める大事なセリフだっただけに、えぇぇぇっ~?と思ってしまいました。シナリオで気に入らなかったのはここだけですかね。
アクションシーンはさらにパワーアップ。蒼紫戦、宗次郎戦、志々雄戦。どれも見応え十分でした。飛天御剣流の技である九頭竜閃もきちんと登場しましたし、どのような表現になるんだろうと期待していた天翔龍閃も、その破壊力がよく出ていたと思います。

るろうに剣心 伝説の最期編

志々雄戦などはもう、どうやって殺陣を作ったのか、このスピードで、この大人数で、これだけの戦いが描かれた作品はそうそうないと思います。やはり肉体による演技の迫力は、CGなどの技術で届かないなと改めて感じました。
全体的にはもっともっと長く観たいと思いましたが、もしこれが大ヒットとなっても、もう続編は作らないでほしいです。原作のいい部分は出し切っていると思うので、もし続編を作ることがあれば、そのエッセンスを残した形の完全新作にしてほしいですね。

るろうに剣心 伝説の最期編

あっ、今回、話がシリアスなので、ギャグパートはほとんどありません。「おろっ?」すらないとは思いませんでしたが(^_^;)
『るろうに剣心 伝説の最期編』は、全国ロードショー中です。

©和月伸宏/集英社 ©2014「るろうに剣心京都大火/伝説の最期」製作委員会