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Vol.136 『鬼神伝』

鬼神伝マスコミ試写にて『鬼神伝』観賞。平安時代を舞台に繰り広げられる、人と鬼との戦いを軸にしたジュブナイル的アニメ作品。
1200年前の京都にタイムスリップした中学生・天童純。人と鬼とが戦う平安京に突然投げ出された純は、実は、封印されたオロチを目覚めさせることのできる「救いの御子」であり、この戦いに終止符をうつ選ばれし者だと聞かされる。しかし鬼の一族である少女・水葉から聞かされた話では、鬼とは元々平安京の地に住んでいた、自然との共存を望む人々であり、その存在がジャマとなった貴族たちによって鬼と呼ばれ、虐げられているのだという……。


この物語の主軸は、何事にも自信を持てず、どこか卑屈に過ごしてきた少年が突然世界を変えられる力を与えられ、自らの決断が及ぼす影響にとまどい、迷うことによって成長していく姿。何が正しくて、何が間違っているのか。自分はいま何をすべきなのか。そうした葛藤の末の決断は、少年を大人に変えていく……。
主人公である少年の成長していく姿を描いた作品は数多くあり、この作品もどちらかというとセオリー通りで、目新しさや斬新な展開というのはほとんどありません。その分、少年が決断にいたる道筋をしっかりと描き、クライマックスに向けての説得力を持たせています。
この作品で目を引いたのはなんといっても平安京の描写でしょうか。1200年前の京の都の壮大さが伝わる美術はよかったです。また、その壮大な都を舞台に繰り広げられるバトルシーンも美麗でした。
少年が目覚めさせるオロチのコンセプトデザインを大友克洋さんが担当しているのも見どころの一つ。京都の神泉苑に封印されているオロチは龍で、生き物としての存在感があふれるデザインになっています。複数の目、しなやかに動くヒゲ(?)や体は、これまでの龍の概念に崩すことなく、新しい龍の形態を提示しています。このデザインはとても気に入りました。
この作品では声優ではなく小野賢章さん、石原さとみさん、中村獅童さんらが声を当てているのですが、これはどうなんでしょうか……。個人的にはプロの声優が声を担当した形で観たかったなと思います。役者として演じるのと、声だけで演じるのでは、何かが違うんですよね。役者が声を当てるのが悪いとは思わないし、はまる人ははまるのですが、似て非なるものという気がします。
最初にジュブナイル的作品と書きましたが、どちらかというと小学生のいる家族連れで観るといいんじゃないかなという作品です。
『鬼神伝』は4月29日より全国ロードショーです。
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