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Vol.137 『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』

ブッダ全12巻漫画文庫マスコミ試写にて『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』観賞。タイトルにもある通り、手塚治虫さんの『ブッダ』を原作とした長編アニメーションで、3部作の第1作。
仏教の開祖として知られるブッダことシッダールダの生涯を描いた手塚さんの意欲作。シッダールダの誕生から、身分制度への疑問を抱き、悩む姿を描いた本作ですが、原作でも冒頭からシッダールダが出てくるわけではないので、どちらかというと奴隷からコーサラ国の勇者となったチャプラが主役として描かれています。


当初から3部作として構成されているせいか、どうにも中途半端な感が否めないというのが本音でしょうか。戦争シーンなどのアクティブな場面も登場するのですが、今一つ盛り上がりにかける感じ。さらに、チャプラの物語とシッダールダの物語が並行して進むのに、その接点はほとんどなく、別の話を同時に観せられている印象でした。全体ではもちろんシッダールダの物語なんでしょうけど、ここは割り切ってチャプラの話だけにしてしまってもよかったのではないかという気がします。
あと、キャラクターがどうも手塚作品に見えないんですよねぇ。数々の手塚アニメがありますが、ほとんどがぱっと見るだけで手塚さんの作品とわかるのに、この作品はどうも手塚キャラには思えない感じ。まあ、無理に手塚キャラにする必要はないんですけど、そこは好き嫌いが分かれるところではないでしょうか。
この映画では、サブキャラまで含めてそうそうたる顔ぶれの声優がキャスティングされています。なのに、主役クラスのほとんどは俳優・女優など、声優が本業ではない方々。吉永小百合さんは可もなく不可もなくでしたが、チャプラを演じた堺雅人さんがうまかった。体・表情を使わずに声だけで演技をするというのは、やはり慣れていないと難しいと思うのですが、堺さんの場合、そのまま声優ですといっても通じるくらいの演技力でした。
こうした劇場版アニメになるとゲストなどで役者などを声に使ったりしますが、個人的にはその専門家である声優が務めるべきであると考えます。堺さんくらい上手な方もいますが、やはりすべてが声優で作られた映画を観たいなと。
3部作ということで、もう2作品を観ないと全体の感想はまとめられないと思いますが、物語の導入の話としては少々引きが弱く、もう少し2作目以降の観賞意欲をかきたてるようなクライマックスにできなかったかなぁという感じです。
もう一つ、サブタイトルの「赤い砂漠よ!美しく」の意味がまったくわかりません……。何をどうするとこういうサブタイトルになるのか……。何かいろいろなところで惜しい感じがしました。続きで、壮大な大河ドラマを観せてくれることを期待しています。
『手塚治虫のブッダ 赤い砂漠よ!美しく』は5月28日から全国ロードショーです。
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