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Vol.157 『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』

タンタンの冒険 ユニコーン号の秘密完成披露試写にて『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』観賞。TOHOシネマズ六本木にて3D上映。
スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国』から3年半振りとなる新作映画は、全世界ベストセラーのコミック『タンタンの冒険』の3DCG映画。製作には『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンも名を連ねています。


伝説のユニコーン号の財宝をめぐって、タンタンと愛犬スノーウィがヨーロッパ、アフリカへと大冒険を繰り広げるこの作品。謎が謎を呼び、次から次へと展開されるアクションシーンは、まさにインディアナ・ジョーンズの物語のようなイメージでスピルバーグの真骨頂とも言えます。
タンタンの物語はこれまでも実写映画やアニメになっています。私はどれも観たことがないので正確な比較はできないのですが、まず間違いなくトップクラスの冒険物語になっているのではないでしょうか。
この作品では3Dパフォーマンスキャプチャーという技法を用い、役者の演技を取り込んでデジタル化。とてもリアルな表情、そして演技をするCGになっています。また背景となる自然などもかなりリアル。海や砂漠といった風景がとても緻密に描かれていて、リアリティを演出しています。
しかし、これだけリアルにするなら実写でいいのでは?という気もしました。CG自体もすごいのですが、個人的には『キャスパー』で幽霊となってしまう人間のCGとの違いがそれほど感じられなかったというのも事実。もちろん技術的には格段に上がっているし、その緻密さは比べようがないくらい違うのですが、観終わってしばらくすると同じくらいのイメージに感じてしまう……理由はわからないのですが。
3Dアニメなら3Dアニメとして割り切ってしまえばいいのに、やけにリアルなためにどちらつかずになってしまっているというのが原因のような気もします。
またリアルではあるのですが、やはりCGアニメはCGアニメ。どうしてもドキドキ感というか、ハラハラ感というものが伝わってこない。これだけの冒険物語なのに、手に汗握るという感じにならないんですよねぇ。なんていうか、その場の空気が伝わってこない気がするというか、安心して観ていられるというか。
あと、3Dにした意味が私にはほとんど感じられませんでした。特に奥行き感や臨場感が3Dによって増加している!ということもありませんでしたし、自然な立体感はあるものの3Dでなければいけないかというと絶対ではないというところでしょうか。ディズニーの3Dアニメを観ると、リアルはリアルなんですが、CGだからこそという作り方がされています。それがなくてどっちつかずになっているというところでしょうね。
話としては普通におもしろいですし、あっという間に終わってしまう感もあるのですが、これはすごい傑作だ! 3部作の第1作として続編が待ち遠しい!というところまでいかなかった感じがします。少なくともこの映画は、私が観たかったスピルバーグ監督作品ではなかったというのが素直な感想です。
『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』は12月1日(木)より、全国ロードショーです。
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