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Vol.174 『ロラックスおじさんの秘密の種』

Dr Seuss the Lorax完成披露試写にて『ロラックスおじさんの秘密の種』観賞。TOHOシネマズ 六本木ヒルズ。日本語吹替版では志村けんさんがロラックスおじさんの声を担当するとのことですが、今回の試写会は3D字幕版。
『怪盗グルーの月泥棒 3D』のスタッフが製作した3DCGアニメで、環境悪化のために木が生えなくなってしまった、すべてが人工の街が舞台。さらに進化した3DCGによる美術がなかなか見事でした。


映画が始まってすぐのころは少し奥行きに違和感を感じるのですが、すぐに慣れ、逆に奥行き感も飛び出し感もちょうどいい感じになります。この作品のCGですごいなと思ったのは、3D効果よりもふわふわ感というかぽわぽわ感というか、やわらかいものの表現です。なかでもこの作品のキーとなるトリュフラの谷、トリュフラの木はすばらしかった。

Dr Seuss the Lorax

CGって金属などの固いものの表現は得意ですが、やわらかいものには適してないと思うんです。全体が液体のようなやわらかさというのはできますが、毛などのやわらかいものの集合体の表現は苦手というか、固まりにしか見えないというか。この作品ではそこが非常にうまく作り込まれてましたね。あと水などの透明感もよかったです。
お話しとしては、俗に言うファミリー向け作品と言えばいいでしょうか。東映動画初期の長編アニメを見ている雰囲気。といっても、テーマを無理矢理押しつけるようなこともなく、説教くささも感じません。小さなお子さんがいるご家庭にはとても向いている作品だと思います。
これまでもいろいろアメリカの3DCGアニメを観てきましたが、向こうでは3DCGは子ども向けあるいは家族向けというのが徹底されているような気がします。日本のように中高生や大人相手に複雑なストーリーで作るのではなく、子どもたちが楽しむものと点をぶらさずに作っている、逆にいうととても安心して観せることができる作品とでも言えばいいでしょうか。
もちろんユニバーサルスタジオの作品ですから、ジェットコースタームービー的なワクワク感やハラハラ感も満載なので、そういうシーンは大人でも楽しめると思います。急流下りのシーンなどはなかなか見応えがありました。
作品自体は1時間半程度なのですが、観終わった後、もっと長かった感じがしました。これはたいくつで時間を長く感じたということではなく、この尺とは思えないほどたくさんの話が盛り込まれているからです。実感としては2時間ぐらいの作品に感じましたね。
ただ、日本のアニメに慣れていると、どうしても違和感があるのがキャラクターですね。アメリカのアニメ全般にいえることなのですが、かわいいとは思えない。こういうキャラクターが好きな人もいると思うのですが、観た瞬間にアメリカのキャラクターだなと思ってしまうんですよねぇ。どっちがいい悪いではなく、人種による感性の違いだと思うのですが……。

Dr Seuss the Lorax

途中、ミュージカル仕立てのところもあったりして、魚たちが歌い出したり、その動作自体はとてもおもしろいんですけどね。
家族みんなで楽しめる『ロラックスおじさんの秘密の種』は10月6日からTOHOシネマズ 有楽座ほかにて全国ロードショーです。
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