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Vol.198 『エリジウム』

エリジウムTOHOシネマズ錦糸町にて『エリジウム』観賞。ニール・ブロムカンプ監督、マット・デイモン、ジョディ・フォスター出演のSF映画。
不老不死を実現したスペースコロニー“エリジウム”。そこに住む富裕層に対し、スラムと化した地球に住む貧困層は、日々生きることで精一杯の生活を強いられている。ある日、事故によって余命5日と宣告されたマックス(マット・デイモン)は自分が生きるため、また、白血病で死の淵にある幼なじみの娘のため、にエリジウムへ行くことを決意する。しかしエリジウムには、そのコロニーを守るためには非道な行いも辞さないデラコート(ジョディ・フォスター)がいた……。


低予算でメジャーな俳優も出演していなかった『第9地区』で世界中に衝撃を与えたブロムカンプ監督。その監督がきちんとした予算を使って映画を作るとどうなるのか?という部分に興味がありました。低予算でヒットした映画というのはわりとありますが、そのヒットのおかげで予算がついたおかげで、逆に良さが損なわれてしまい、普通の作品になってしまうということがままあるので、ブロムカンプ監督はどうだろう?と。
しかし、本作はそのようなことはなく、かけるべきところにお金をかけてきちんと作ったという印象ですね。SF映画の場合は、やはり特撮部分にお金をかければかけるほどリアリティが増すので、そうした点のグレードアップがはかれているところが好感が持てます。
だからといって、『第9地区』で魅せたいい部分がなくなっているかというとそのようなことはなく、監督ならではのテイストそのままにスケールの大きな作品になったという感じでしょうか。たとえばハンディカメラが多用されていたり、貧困層の住むスラムの描き方などは『第9地区』から引き続きという感じでした。
予算をかけているとはいっても、特撮部分も撮り方にこだわりを見せています。全体的にロケやセットでの撮影を中心にしているため、そこに物や人が存在しているというリアリティが非常に高かったです。グリーンバックでの撮影が増えている中、背景などがある状態での撮影は役者にもイメージが作りやすいのではないでしょうか。映画が仕上がったときに、どのような画になっているかわからないのでという発言をする役者さんがいたりするのはあまり感心しないなぁと思っていましたので。
特撮部分としては、スペースコロニーの映像がとてもよくできてました。日本のアニメなどでもいろいろなスペースコロニーが登場しますが、あれが実写でリアルに作られるとこのような映像になるんじゃないかなという気がしました。今後のこうした舞台が登場する作品に影響を与えるのは間違いないでしょうね。
作品としては、マット・デイモンの演技はさすがという感じです。いつからこんなに銃が似合う役者になったんだろうと。『グリーン・ゾーン』のときもそう思ったんですが、構え方が堂に入っているというか、とても自然に扱っている感じがしますね。
この主人公に対して、この作品ではクルーガーという敵が登場します。エリジウム側の秘密工作部隊で、かなりいかれたキャラクターとして描かれているんですが、これがちょっと弱い。凶悪さは感じるのですが、憎々しさがもう一つ足りず、対決シーンなどでも主人公に対して格が一つ下という印象を受けました。これがちょっと残念でしたね。
ジョディ・フォスターに関しては、ネタバレになる部分もあるので割愛しますが、こちらも少し残念な感じがありました。裏でいろいろ画策しているキャラクターなのですが、ジョディ・フォスターを用いるなら、もう少し知的なイメージのキャラにしてもよかったのではないかという気がします。そんなに感情的になるところはないのですが、そうした部分が出てるシーンがどうもはまっていない感がありました。
全体的にはよくできている作品ですが、SF映画好きならその映像を楽しんでもらいたいという映画という感じでした。
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