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『大統領の執事の涙』リー・ダニエルズ監督サプライズ舞台挨拶レポート

『プレシャス』でアカデミー賞に輝いたリー・ダニエルズ監督が最新作『大統領の執事の涙』を携えて初来日。2月5日(水)に都内で開催された試写会の舞台挨拶にサプライズで登壇した。

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この日はアメリカ大使館からリチャード・メイ文化・交流担当官も来場した。2月は米国連邦政府が「黒人歴史月間」として指定する記念月間にあたり、今回アメリカ大使館の正式後援を得ている本作は、この2月に全国各地のアメリカ領事館と共に試写会などのイベントを実施。
東京では本日の試写会、大阪でも同日に史上初の領事館試写会を行い、名古屋ではアメリカ大使館外交官とのディスカッション付き試写会、福岡では首席領事参加の試写会、北海道では大学教授によるレクチャー付きイベント実施と数々のイベントを行う予定。
登壇したメイ氏は映画の中で描かれるアメリカにおける公民権運動の高まりに触れ「全てのアメリカ人にとって非常な重要な時代を映し出しています」と語り「この公民権運動が、ラテン系アメリカ人、アジア系アメリカ人、そして、その後のゲイ・レズビアンの人々の人権運動へと繋がっていきました」と本作が描き出す物語の歴史的な意義に言及。「映画を楽しんでいただくと同時に、こうした歴史に触れる機会として捉えていただければ」と呼びかけた。
そして、司会者から来日したばかりのダニエルズ監督の来場が伝えられると会場は拍手と歓声に包まれた。監督は覚えたての日本語で「日本に来られて嬉しいです」と挨拶し「ハロー、TOKYO!!」と絶叫。喝采を浴びた。

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ダニエルズ監督にとっては今回が念願の初来日となるが、ウェズリー・スナイプス、ウィル・スミスら親交のある俳優陣の名を挙げ「みんな、『日本の文化は素晴らしい』と言っていました。彼らから事前に情報を教えてもらってます(笑)」と明かし「日本の文化を吸収して帰りたいです」と満面の笑みを浮かべた。
本作は3週連続全米1位を獲得し、評論家からも高い評価を集めているが、監督が何より嬉しかったというのが、92歳になる親類の男性からの感想。「彼はアフリカ系アメリカ人として初めて小児科医になった男で、当時、黒人は医学部に進めなかったので、ドイツに渡って医学を学んで、その後、アメリカに戻って多くの同胞の子どもたちの命を救ってきました。そんな彼が映画を見て『君は私の人生を綴り、アメリカの物語を描き、そして普遍的な全ての人々に通じる話を作ってくれた』と言ってくれたんです。この映画は私にとっても非常にパーソナルな物語。こうしてみなさんに見ていただけるのが嬉しいです」と語ると、会場は温かい拍手に包まれた。
実際、公開後は全世界で2億ドルを超える興行収入を記録しているが、制作時は出資者が集まらずに難航したという。「これまでの人生、キャリアを通じて『NO』と言われ続けてきましたが、今回もハリウッドでこの映画を作ろうとした時、名だたるスタジオが製作を見送り、外国や一般の方々から出資を募りました。当初『こんな作品は誰も見ない』と言われましたが、そうした言葉は、ここに集まったみなさんの知性をバカにするものであり、2億ドルという結果は、こうした作品がいかにみなさんに受け入れられるかを証明するものだと思います」と熱弁を奮い、客席からは再び拍手がわき起こった。

『大統領の執事の涙』
2月15日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー
©2013,Butler Films,LLC.All Rights Reserved.
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